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個人的な読書感想文
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アメリカのグローバル戦略とイスラーム世界
アメリカのグローバル戦略とイスラーム世界 (明石ライブラリー)アメリカのグローバル戦略とイスラーム世界 (明石ライブラリー)
(2009/01/26)
森 孝一村田 晃嗣

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ネオコンの独善的な暴走をちくちくと非難。
たまたまめくってみたら、P103のあたりでミアシャイマーとウォルトの「イスラエル・ロビー」がどの程度正しいものだったか検証していたので、思わず借りてしまった。

やはり、本は一冊読んだだけでは、その内容がどの程度偏っているか、どの程度の信憑性なのかはわからない。
複数の話から、見えない部分を推察して、自分なりの仮説を立てていくしかないだろう。

それで、読み終えての感想だが、この本も「イスラエル・ロビー」同様、「んで結局どうなってるんだよ?」といわれると返答に困るものになっている。
主にアメリカの中東戦略とイスラム社会のギャップを政治・経済・宗教・軍事の面から、何人かの人が検証しているのだが、話の方向にはばらつきがあるし、言い回しも難解でわかりずらいとこが結構多い。
非常におおざっぱにいうと、「なぜネオコンはイラク戦争をしでかしてしまったのか」という内容なのだが・・・。

「シーア派ではタクヴィーニーすなわち世界創造の導きとタシャリーイーすなわち啓示による導きに大別するが、本能や人間の理性も含めたタクヴィーニーの導きはアクィナスの永遠法ならびに自然法に相当し、また、神の神法はシーアのタシャリーイーの導きに当たる。」
(P213「第八章・イラン・イスラーム体制と近代西欧との距離-トマス・アクィナスを事例にして」)


一体何を言っているのだろうか?
これは中二病の企画者がFF13の設定を語っているのではない。

イスラム関係の本は何冊か読んだが、どれも一般的な風習を単純に解説したもので、それを現場の個人がどう捉えているかという「感情」が一切表現されていない。
ベンジャミン・フルフォードが、「日本の新聞記事には“人”が入っていない」といっていたのと同じである。
ニューズウィークなどの記事は、事件現場の個人的な物語から一般論に導いてオチをつけるというパターンが多いがそれと全く逆だ。
大きすぎて全く実感のわかない慣習やイデオロギーより、個人的な感覚からムスリムの世界を描写した本があったら読んでみたい。

ちなみに「イスラエル・ロビー」は、悪の元凶は全てユダヤ・ロビーだ、という善悪の非常にハッキリした結論に合わせて内容が書かれているので、非常に読みやすくてわかりやすい。
本書での“悪役”はネオコンだが、それにしては焦点がぼやけた印象をそこかしこで感じる。

ただし、巻末のフランシス・フクヤマの話は非常にわかりやすくて興味深い。
この本もこのあたりだけでまとめて廉価版を出したほうがいいのではないかと思った。
「予防戦争とは死ぬのが怖いという理由で自殺をはかる行為」だそうだ。

また「テロリズム」という言葉は単に手段を指すもので、民主主義とか自由といったイデオロギーに対応する言葉ではないという。
中東に対する武力行使への正当化として、もっとも適切な言葉が「テロリズム」であったという。
(いわれてみれば、民主主義や自由にも暴力装置(ある意味テロ)は付いているな)
単なるモーダス・オペランディ(手口)に過ぎないとのことだ。
やっぱり調子のいいレトリックばっかりかましてるヤツには碌なのがいないね~。

養老孟司は
「日本は歴史を消す文化で、仲間内でかばいあって問題の原因をうやむやにするが、アメリカは戦争にしろ経済にしろ問題点を明確にして、改善して進歩する能力があるから強い」といっていたが、この本の序章でも同じようなことが書いてある。

でもベトナム戦争とイラク戦争は同じ間違いをしてるとも書いてある。
ベトナムにしろ、イラクにしろ、現地に生きている人々の価値観を考えずに、自分のイデオロギーを軍事的に押し付けて収拾が付かなくなるのは同じということだ。

4300円もする本で、物知りにはなれるが、新しい概念や発見があるということはない。
図書館で借りてタダで読むのが丁度いいかなといった感じの本だ。
(読むのに時間かかりすぎるけど)
「イスラエル・ロビー」がどの程度インチキな本なのかもはっきりしなかった。

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イスラエルロビー
イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 2イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 2
(2007/10/17)
J.J. ミアシャイマーS. ウォルト

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ただでさえ仕事帰りの朦朧とした状態に読んでいたうえ、ユダヤネタや副島隆彦の信頼性もどの程度のものなのかわからない。
なので、どの程度の信頼性なのかは不明だが、アメリカではベストセラーになったので、一応こういうのが「常識」とされることもありますよ・・・ぐらいの受け止め方でもいいのかもしれない。

以下に自分が気になったポイントを挙げていく。

「和平達成の障害になっているのは、イスラエルではなくハマスだ」(P56)


確かに、アメリカの政治的空白を狙ってロケット弾打ち込むとか、何考えてんだてめーらはという気がする。

「イスラエルの役割について開かれた議論はない。これは、昔からある象のたとえ話のような状況なのだ。つまり、すべての人がそれを見ている。だが、誰もそれについて語らない」(P75)


その理由は“反ユダヤ主義者”というレッテルを貼られることへの恐怖心だという。
どこの国でもそんなもんか。
とりあえず4chで差別主義ではないことを提示しながら議論してみてはどうか。

「イラク戦争は石油のための戦争か?」(P115)


米国の石油産業が長年ロビー活動をしていきたのは、戦争のためではなかった。
イラクへの経済制裁を解除して金儲けをすることが目的だったという。
ここでも、浜田幸一のイラク戦争公共事業説は否定されている。
それにしても驚いたのは、アメリカ国内でも「なぜイラク戦争を始めたのかわからない」という声が大きく、議論になっているという話だ。
911からの勢いでやっちゃったというのが、普通の人(?)の率直な実感だそうだ。

「中東地域の体制転換の夢」(P118)


中東に民主主義を定着させれば、イスラエルと周辺国との紛争も自動的に収束し、アメリカの影響力も強まると考えられていたらしい。
これが後付の言い訳でなく、本気で思っていたのなら、本物のアホだ。
大東亜共栄圏を建設すればアジアが繁栄するとかいってた日本と全く同じではないか。
どんなに正しいイデオロギーでも一方的に押し付けられたら、人はそれに反発するものだ。
もっともこの話も911以前はブッシュもチェイニーも支持していなかった戦略だという。

この話に限らず、自分がいきなり攻撃されたら、それにどんな手段をもってしても徹底的に報復する自分は正義である、という考え(バイアス)はもう捨てるべきではないだろうか?
報復とか反論についても、なんらかのルールは必ずあるはずだ。
それを自覚しないと、戦いが泥沼化して、結局何が正しくて何が間違っていたかについて不明なままリソースだけが浪費されていき結局全員が不幸になってしまう。

コンドリーザ・ライスの和平交渉も全く役に立たなかった、というのも残念だ。
イスラエル(IDF)の暴挙を「新しい中東の生みの苦しみ」で一蹴していたらしい。

IDFはレバノン南部の民間人に対してクラスター爆弾を使ったりしていたという。
意図的に戦闘員と一般市民の区別をつけなかったのだとか。
『今、南レバノンに残っているすべての者は、何らかの形でヒズボラと関係を持っているテロリストである』とイスラエル法務大臣のハイム・ラモンは述べていたという。
これは南京での便衣兵がどうのこうのとかいうロジックと全く同じで、理由にならない。

イスラエル・ロビーの主な団体はAIPAC(ハワード・フリードマン会長)、イスラエルのためのキリスト教徒連合(CUFI)などだそうだ。
イスラエルのオルメルト首相は
「我々にはAIPACがついてます」
とか戦争中に語っていたのだとか。

しかし、こういった流れは近年変わってきており、イスラエルを普通の国として扱うという風潮がアメリカにも生まれつつあるそうだ。
難民の寄り集まりで出来たような国が、難民を生み出すような国を支持するのはおかしいだろう。


全体として、具体的な話が多く、わかりやすいが「結局どうなんだよ?」といわれると返答に困る内容だ。
また、中東の人々のためでもなく、人道的なモラルのためでもなく、アメリカの国益のためにイスラエルへの対処法を変える、というのもなんだかなあという感じがする。
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