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自由を考える 9.11以降の現代思想
自由を考える―9・11以降の現代思想 (NHKブックス)自由を考える―9・11以降の現代思想 (NHKブックス)
(2003/05/01)
東 浩紀、大澤 真幸 他

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ネット社会における自由の再定義。
東浩紀・大澤真幸「自由を考える 9.11以降の現代思想」
人は自由を求めている一方、秩序を求める。
秩序は管理によってもたらされる。
管理は自由を狭める。
この一連の流れの中で、何かがスルッと入り込んできても誰も気付かないのではないか? という疑問を掘り下げた対談。

住基ネットを批判すると、むしろもっときっちり住其ネットを作れというロジックになる。
ネットの誹謗中傷から弱者を守れといって規制を始めると、結局社会的弱者の声が聴こえなくなる。
パノプティコンのように監視されている不安よりも、現代はむしろ、メールがこない、自分のサイトが1日6hitしかこない等、「見られていないかもしれない不安」(これも原子化した個人だな)といったものが大きい。
・・・といった具合に、ヘビの尻尾のみのような切れ目のない問題が続々と出てくる。
こういった状況に対して、新しい哲学を模索している。

この本のキモはP203この部分に集約される。

たとえば、労働者が自分の労働力を売って対価をもらっている。何が悪いんだと言われたら悪いわけはない。この状況を「疎外」という概念で捉え返すことで、マルクス主義が出てきたわけですよね。それは概念の発明です。
今求められているのも、同じタイプの発明だと思うんです。個人情報を売って代価やサービスをもらう、そのどこがいけないのか。いけなくないんですよ。
ただはっきりしてるのは、にも関わらず、これは何かが間違っているのではないかと、多くの人が不安を抱いているということです。
その感覚を言葉や論理に変えていかなければならない。



新しい枠組みが必要ということだ。
その為には、新しい概念やキーワードなど、確認手段としての言葉が重要になっていくだろう。

P243では、価値観がばらばらになりすぎた民主主義では、投票が意味を持たず、籤引きが有効という話が出ている。
そういえば、小泉も「政治で重要なのはインスピレーションだよ」といっていたなあ。

教養がありすぎて話がまわりくどくなっているところもあるが、(何しろスタートレックのスラッシュ小説や純愛エロゲ、新海誠の『ほしのこえ』まで引用されるのだ)話の内容は刺激的で示唆に富む。
イラク戦争などの国際情勢ネタは余り多くなく、むしろ国内でのほほんとネットしているオタクの皮膚感覚で語られているところが素晴しい。

実際、この「見えない監獄」の問題は昔からあったものだ。
川原由美子の「すくらんぶるゲーム」やTVドラマ「プリズナーNo.6」なども同じ系統のテーマを持っている。
柵が明確ではないから、自由ではある。
とりあえず楽だからその向こうへ脱出する必要はない。
しかし、果たしてそれでいいのだろうか? という話だ。
この本ではネット社会を迎えて、それが現実の世界に可視化されてきたからこそ語られたといえる。

全体として、こういう問題が出てきてます、今まではこういう哲学がこういう批判をしていましたという点で終わっており、作者二人は問題点を浮き彫りにするところで終わっている。
それに対する対処法や姿勢はバチッと示されているわけではないが、読んでいるぶんには面白い。
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テーマ:読書感想 - ジャンル:本・雑誌

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